『最低よね。私、結婚するのに。こんなこと、言うべきじゃないことも分かってる。仁志だって困るだけなのに。でも…抑えられないの』 夏実は仁志に抱き付いた。 『お願い、行かないで。ずっと、私の側にいて欲しい』 すがり付くように、仁志の胸で泣きじゃくった。 『お前、自分がどんなことしているのか分かってるのか?』 『分かってるわ。覚悟はしてる』 『それで、どうして欲しいんだ?このままお前を連れ去って駆け落ちでもしてほしいのか?』