その夜は眠れなかった。 目を閉じると、あの幻想が浮かんで来て混乱していた。 仁志は常に女を連れていた。 それまではこんな想いはなかった。 ―仁志が行ってしまう… そう思うと、涙が溢れて息が出来なくなる。 そして、恐ろしい結論に達してしまった。 私はずっと、仁志のことを愛していたのだということに。 愕然とし、何て愚かなのだろうと思った。 どうしてこんなことになるまで気付かなかったのだろう。 どうして今、気付いてしまったのだろう。 夏実は横で眠っている裕太を見た。