夏実はすぐ返事が出来なかった。 『返事は急がなくても良いよ』 『―うん…ありがとう』 夏実は帰り際、ずっと何故すぐに返事を出来なかったのか考えていた。 自分には裕太しかいない。 結婚する相手は裕太に決まっている。 何を迷っているのだろう? 仕事が大事だから? でも、私はお嫁さんになることが夢だった。 幸せすぎて、感覚が麻痺しているのかもしれない。 徐々に嬉しさが込み上げてくるのかも。 そう思い、今考えるのはやめた。 車の中でサザンの「いとしのエリー」が流れていた。