「仁志が？」

「ええ、彼は須賀さんの記憶を取り戻すことにとても良い影響を受けています。今まであなたが順調に思い出せたのも、彼のおかげです」

それは良く分かっている。

仁志がいなければ、私はきっとここにたどり着いてはいない。

「彼の協力があればきっと取り戻せるでしょう。いえ、あなたの過去の記憶はもう取り戻しているはずです」

「でも…何も思い出せないです」

「須賀さん自身が思い出そうとしていないからです。過去と向き合う覚悟が出来れば、自ずと思い出せます」