「まだ完全には戻っていないわ。それに、私と仁志はもうすぐ結婚するのよ。どっちにしろ一緒に住むことになるんだから」 一瞬、家族が息を飲む様な空気が流れた。 「―どうしたの」 三人とも夏実の眼を見ていない。 「―そうだよ。別に遅かれ早かれ一緒に住むんだ。別にいいだろ」 兄が言った。 「―そうだな」 父も夏実の肩に手を置いた。 「気をつけて」 「うん、ありがとう」