きっと仁志が両親に自分に見せない様にと伝えたのだろう。 そう分かると、一気に気持ちが沈んだ。 思い出そうとしているのに、どうして隠すの? 「もうそろそろ帰ろうかな」 母が立ち上がり、 「何言ってるの。ここに戻って来るんでしょう?」 「まさか。仁志のところに戻るわよ。明日のご飯用意してなかったし」 「もういいでしょう。戻りなさい、記憶もほとんど戻ったのだから」