「ご両親のこと、好きだった?」 「―正直、分かりません。私のことを愛してくれているのはわかっていましたが、母や父のようになりたいとは思わない」 米田は頷いた。 「だいぶ戻って来ましたね」 「はい、ありがとうございます」 米田先生の治療に通い、良く分からない絵や物を見せられたり、脳の検査をして、一体何の役にたつのだろうと不安になったが、何気ない会話で自然と昔のことが思い出せた。