~FLASH BACK~

クラブから出た後、二人はホテルに入り、仁志が珍しく饒舌に喋っていた。

『お前がマネージャー入りたての頃、こんなお嬢様がマネージャーなんかできるわけないだろうと思ってたよ』

『結構頑張ってたでしょう』

『男以上に根性あって驚いたよ』

そう言い、彼は寒そうに体を縮めた。

『コーヒー、淹れるね』

そう言い、夏実は立ち上がりコーヒーを淹れた。

『砂糖、入れるなよ』

『ええ?どうしてよ?』

『コーヒーの味が薄れる』

『ふうん、そうかしら。はい、どうぞ』

夏実もブラックのコーヒーを飲んだが、一口飲んで諦めた。

砂糖を二袋入れた夏実を見て仁志は笑い、

『お子様だな』

と言い、頭を撫でた。