(仁志忘れて行ったんだ。早く気付いてあげれば良かった)

「―あ…」

定期入れの中に、一枚の写真が落ちた。

普通のサイズより小さく、定期入れに入る大きさに切ってあった。

見ると、高校生だった頃の制服姿の自分と野球ユニフォームを着た仁志が写っている。

(二人の写真、持っててくれたんだ…)

真っ黒に日焼けした仁志はまだあどけなさが残っていた。

夏実は何か違和感を覚えた。

深く考えたら分かりそうな気がしたが、そうしようとするとまた苦しくなる気配がした。身体が拒否していた。

夏実は自分のスカートのポケットに閉まった。