夏実は必死に仁志にしがみついて、まだ上手く息を吸うことが出来なかった。 仁志は息を吸い、夏実の顔に近づけた。 暖かい… 苦しさが収まってきた。 遠い意識の中、人工呼吸をしてくれていたことにようやく気付いた。 「ごめん」 仁志が夏実の涙を拭い、謝った。 悲しい顔をしていた。 「俺のせいだ…」 そんな悲しい顔をしないで笑って欲しいのに。 そう思いながら、意識を失っていった。