「どうして。あんなにはりきってただろ」 「戻って」 「何言ってるんだ。ここまで来て」 「嫌!戻って!」 「駄目だ。行くんだ」 呼吸がうまく出来ない。 苦しい。 「夏実?」 「……たすけ…て…」 「夏実!」 仁志は車を止めて、紙袋を探したが、思い直し、夏実を抱き締めた。 「大丈夫だ。ごめん、もう行かないよ。俺が悪かった」 背中をさすり、頭を撫でてくれた。