「ナツミ…?私達のことが分からないの…?」

中年の女性が泣きそうになっている。

ゆっくりと頷く。

女性がわあっと泣き崩れた。

「おい、自分の名前は分かるだろ?」

最初に側にいた若い男が言った。

「―あ、私の名前は…」

―名前…?

(どうして?出てこない…)

「分からないのか?」

若い男が自分の肩を揺さぶってきた。

「アイツのことも、忘れたのか?思い出せないのか?!」

―思い出せない…

男が自分の身体を揺さぶっていたので、全身に激痛が走り、声が出た。

「やめてください!」
誰かが彼を制した。