夏実がベッドで寝て、ソファに仁志が寝る。

交代にしようと言っても

「病人にそんなことさせられるか」

と言い、毎晩ソファーで寝てる。

仁志はお酒をたくさん飲むと機嫌が良く、自分の昔の話をしてくれる。

夏実は嬉しくて、仁志に何度も手酌をしていた。

今日は高校時代の話をしてくれた。

「野球部の頃、自分に凄く自信があったんだ。キャプテンに選ばれたのも当然だと思っていたし、人一倍努力もしていた。でもあの県大会決勝戦は俺のせいで負けたんだ」

「そんなことないわ」

「いや、俺のせいなんだよ。野球が全てだった俺はあの日以来もう何をして生きていけば良いのか分からなかったんだ」