「え?どうしてだよ」

「―だって、恐いの。私、1人でまだ何も出来ない」

「大丈夫だよ。俺が付いてるから」

「でも…私、家族もまだ思い出せないのよ。住む家も分からないのに」

「何だ、そんなことか。だから俺の家で生活するんだよ」

「え?!仁志の家で?」

「ああ。狭くて汚いけど」

「でも…二人で?」

「ああ、不満でも?」

一体どういうつもりなの?

「それとも1人で住むか?」

「……」

黙って首を降った。

仁志は笑っている。

夏実は思いっきり仁志を睨んだ。