『―仁志』 『本当にすまない。許してくれるなら何でもするよ』 仁志は頭を上げようとしなかった。 『―じゃあ、夏実を僕に譲ってくれるかい?』 仁志は頭を上げた。 『―裕…』 『そうさ、僕も好きだった。ずっとね。仲が良い二人を見ていていつも仁志のことが羨ましかった』 『―…』 『どうなんだい?』 『―分かった』 仁志は手を強く握りしめ、 『お前なら、きっと夏実を幸せに出来るだろう』