今までの裕太には考えられない力の無い声だった。 「―もともと、俺と夏実は結ばれない運命だったんだ…」 「何言ってるんだ」 「もうあの約束からお互い解放しよう」 「裕!!」 「夏実を今度こそ幸せにしてくれ」 電話が切れた。 仁志はしばらくその場に立ち尽くしていた。 ―あの約束… あの約束さえ無ければ今頃は… 何度も思わずにはいられなかった。