事故が起きた前日、仁志のもとに電話が鳴った。 「―もしもし」 「―…」 相手は何も言わない。 「夏実?」 「―仁志…」 裕太だった。 様子がおかしい。 昨日の夏実からの電話もおかしかった。 「―何があったんだ…?」 「―俺は、もう駄目だ」 「裕?説明してくれよ」 「―もう、夏実を幸せに出来ない」 「―何言ってるんだ。裕らしくない」 「―仁志。夏実を頼むよ」 「裕?」