二人は見つめあい、仁志は夏実の頭を撫でた。 こうすると、必ず夏実は恥ずかしそうに笑顔になってくれる。 夏実は泣きながら、笑ってくれた。 「梨沙さんは?」 「先に、北海道に行ってる」 「―そう、良かった。ちゃんと待っててくれてるのね。幸せになってね」 「ありがとう、夏実も頑張れよ」 夏実は頷き、 「じゃあ、行くね」 そう言い残し、ドアを開け、裕太の元へ行ってしまった。 しばらく仁志は動けなかった。