「裕を助ける為にも、俺はお前の記憶をどうしても取り戻して欲しかったんだ」 「―仁志…」 夏実は泣きながら仁志を抱き締めた。 「ありがとう、仁志。私、仁志と一緒にいる間、本当に幸せだった。仁志がいたから今の自分にたどり着くことが出来た」 仁志は強く夏実を抱き締めた。 どれだけ、夏実を自分のものにしたかっただろう。 どれだけ裕太から夏実を奪ってしまいたかっただろう。 記憶を取り戻して欲しいと思う反面、取り戻さずに、自分の婚約者としての夏実のままでいて欲しいと願わずにはいられなかった。