『ゆううううう!!』

奇声に近い叫び声だった。

この声を聞いて、男性がやって来た。

『おいっ大丈夫かっ?!』

『お願いします。あの車を、裕を助けて…助けて下さい』

『車?落ちたのか?』

もう既に車は海に飲まれて姿は無かった。

男性は電話を入れていた。

頭に激痛が走る。

『―私が、私がやりました。悪魔を取り払おうと思って…』

体の震えが止まらない。

―アクマハ、オマエダ―

頭を抑えた。

―アクマハ、ケシテシマエ―

そうだ、消してしまおう。

何もかも。

夏実はそのまま気を失った。