夏実は鎮静剤を討たれ、気付いたら病院のベッドに寝ていた。 『気が付いた?』 裕太が尋ねた。 眠っていないのだろう。 疲れた顔をしていた。 『もう退院、出来るそうだ。良かったな』 『―そう…』 夏実にとって今の自分はどこに居ても同じだった。 病院の駐車場で裕太が車の運転席に乗ろうとした。 『待って。私が運転する』 裕太が驚いた顔をした。 『そんな体なのに、無理しなくていいよ』