夕方、電話が鳴った。 夏実は慌てて受話器を取った。 裕太の電話に出るのが遅いと殴られるからだった。 『はい』 『夏実?』 聞き覚えの無い声だった。 『―あの、どちら様でしょう?』 電話口で笑い声が聞こえる。 『やだ、私よ!志保!忘れたなんて、言わせないわよ』 『―志保…?』 高校からの親友だった。 『久しぶり!!元気だった?』 『元気よ!そっちこそ、しばらく会ってなかったら、結婚するって聞いて、びっくりしちゃった』