『実家には何時に着いた?』 『―14時くらいかしら』 『随分時間がかかったんだね』 ―そういえば、その時間に、仁志から連絡が来たんだ。 『12時半頃、電話入れたんだよ。そしたら、通話中だった』 夏実はさっと、血の気が引いた。 『誰と話していたんだい』 『―あ、あの…母よ。式のことで』 恐い。 あの時と同じ顔をしている。 『会うのに何故電話する必要があるんだ』 夏実は声が出なかった。 裕太は勢いよく立ち上がり、夏実のバックの中身を乱暴に取り出した。