二人はしばらく夕陽を眺めていた。 何も言えなかった。 さようならなんて言えないよ。 このまま時が止まればいいのに。 仁志が夏実を見た。 そして、二人は引き付けられる様にキスをした。 長い、長いキスだった。 涙で濡れて仁志の顔が見れない。 『泣くな』 『―仁志…』 『泣いても、俺は何も出来ないんだ。これからは俺の前ではずっと笑顔でいて欲しい』 『―分かったわ』 すると、足音が聞こえた。 『―夏実?』