「思い出したところで、次はまわり見てみ」 「……えっ、なに……これ…………」 今まで想像したことがあっただろうか。 人、物、すべてのものの動きが止まっている不思議な世界を。 まるで、この世から音が消し去ってしまったかのように、辺りはしんと静まり返っていた。 時間の止まった世界。 この世界で動いているのは、私と彼以外に見当たらない。 いつも見ていた風景が、まるで別のものに見える。 「なぜ時間が止まっているの?」 答えを求める私にまっていたのは、残酷な言葉だった。