あの日から…
友達に裏切られた日から姫は学校に来ていなかった。


いや…一応学校には来てるみたいだけど



「柚(ゆず)ちゃん姫って来てる?」

「え、あー…今日はまだ来てないみたい。」



柚ちゃんは姫の親友で姫をすごく大切に思ってる。


この前のことも心配してた。


そんな柚ちゃんのために姫は時々、来て
柚ちゃんや拓磨と話してすぐに帰ってた。

でも
俺は会うことすらなかった。


お互いの家は歩いて5分も掛からない距離なのに会いに行く勇気なんてなかったんだ。



「姫が来たらさ…
俺が探してたって伝えて?」

「うん。わかった。」



柚ちゃんに伝言を頼むと笑って頷いてくれた。



「あ…遼君」

「なに?」



呼び止められ振り返ると柚ちゃんは真剣な表情をしていた。



「姫ちゃんは笑いかけたら笑い返してくれる子だよ?」

「…うん」



柚ちゃんの言葉の意味はわからなかったけど
頷いて俺は自分の教室に戻った。


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