先輩★内緒の片思い

そのとき、かすかに雷鳴が聞こえた気がした。


空を見上げると、一面の雲。


西の方は黒い雲で空が覆われていた。


花火大会なのに夕立にならなきゃいいけど。


でも、なんだか今の私の気分みたいな天気かも。


嫉妬。


いやな感情だな……


でも、まさか二人に会うなんて思ってなかったから、心の準備ができてなかった。


ちょっと一人になって、気持ちを切り替えなきゃ。




私が空から前方に視線を下ろしたとき、後ろから追いついてきた人がいた。




「河野、歩くの速いな」


「え?岸谷先輩!?」


驚いて、思わず足を止めた。


しかし、狭い土手の上で立ち止まるのは他の人たちの邪魔だったようで、岸谷先輩に背中を押された。


並んで歩きながら岸谷先輩が言った。


「葉子が缶チューハイ欲しいって言うからさ」


そっか、葉子さんが……


「そうですか」


また、胸がうずいた。