「梨杏だよね?」 優の声であたしの意識がはっきりとした あ・あれ…………? 「ゆう…だよね?」 「ん?そうだよ?」 違う… 優じゃない… それに、この人は帽子を被っているけど優は被っていなかった 「ちがう…あなたは優じゃない」 「何言ってるの?俺は“優”だよ?」 違う………違う違う違う こんな人、あたしの知っている優じゃない こんな声じゃない あたしの知ってる優は… あたしの知ってる“片桐優”は ―――――…どんな人だった? .