俺が首を縦に動かしてから零が顔あげて
「ありがとう」っと
言って笑って
教室に帰って行った。


俺には、
分からなかった。
零が土下座までして
頼んでくる理由も
俺が本気で
好きになった人を
すぐに手離してしまった
ことも……。

俺は、
本気で姫のことが
好きだったんじゃないのかよ?
俺も零の
親友なんだよな?
何もかもが分からなく
なってしまった。


俺は、
壁に背中を
つけながら床に
しゃがみこんだ。


俺には、
今なにが起こったか
分からないかった。

なんでこんなに
苦しいのかも。
なんでこんなに
悲しいのかも。
なんでこんなに
涙が出てくるのかも……。何もかもが
俺には、分からなかった。