その時
衣希の鋭い睨みが
俺に向けられる。
そんなの
怖くないが
衣希は、怒っている。


「あんた最低だわ…」


怒っている
衣希の声は、
いつもみたいに
女の子らしく
明るい声では、ない。
男らしい
低くてずぶとい声だ。

俺は、つばを飲み込む。


「ど……どこが?」


恐る恐る衣希に聞く。


「どこって……
強く掴んだり
いきなり
チューしたりね〜」