どうせ
俺と姫は両想いでもなんでもなかったんだから…
別にこんなこと言わないでもいいのかもしれない。
だけど…
もしも…
もしも姫が俺のことを
ちょっとでも好きだったとしたら
その心も
ズタズタに切り裂いて
俺を嫌いなってほしい。
姫の心に
恨みでも憎しみでも
いいから…
姫の心にちょっとでも
俺のことを
好きという感情以外で
思っていてくれるなら
俺はそれがいい。
だから
自分の言葉で
今から姫を傷つける。
龍に抱き寄せられながら
俺を見ている姫に近づいて俺なりに
冷たくていつもよ何倍も
強く睨み付けた。
「お前みたいなブスを
本気で好きになるわけねぇだろ?
ただの罰ゲームだよ…」
姫はさっきよりも
涙を流して俺を見ている。
下唇をギュッと
血が出るまで噛み締めて
声をこらえながら泣いている…。
「お前みたいなブスを
本気で好きになる奴なんてこの世に1人もいないんだよ…
いたとしたら
すごい変わり者だと思うけどな!」
苦しい。
悲しい。
心にも思っていないことを言うのはこんなにも苦しいなんて…
思ってもみなかった。

