そして負けじと
衣希で立つものだから
零が挟まれてしまった。
「零…お気の毒に」
笑いながら言うと
俺の右足を叩かれた。
「―――っっ!!!」
声にならない悲鳴をあげる。
「俺は気の毒じゃねぇ…気の毒なのはお前の方だろ?」
クスクスッ笑い出して
陸斗と衣希のそばから
俺の左側に零がやってきた。
やっぱりイヤだったんだな…。
この野郎。
強がりやがって…
まぁ左足でよかったけど。
「なんだまだ痛いのか?」
「おめぇ…俺は怪我人だぞ!!怪我人にはもっと優しくしろ!!」
「痛みを慣れさせるための俺の優しさだ」
この野郎!!
俺は零の理屈っぽいところが苦手だ。
何も言い返せなくなるからな…。
「病院ではお静かにお願いします!!」
陸斗と衣希の言い合いは
気付けば看護婦さんが二人もいて
必死で言い合いを止めていた。
「あなたも!!近くに居るんですから見てないで止めてください!!!!」
「えぇ!!俺だけ!?」
そう言ったのは零。
俺はす早く狸寝入り…。

