雪が降り積もったある朝のこと。
森の開けた場所に、雪の白さをそのままうつしたかのような純白の翼を持つ天使がくすん、くすんと泣いていました。
森の動物たちは優しい心の持ち主だったので天使のことを心から心配し、毎日「どうしたの?」「元気をだして」と励ましに行きました。
それでも天使は一向に泣き止みません。
困った動物たちは、この森で1番賢いと言われているふくろうにどうすればいいか聞きに行きました。ふくろうは、こう言いました。
「なにか、おいしいものでも持って行ってあげたらどうかね?」
なるほど、それはいい案だ、と動物たちは早速森になっているおいしいきのみを天使へ届けへいきました。けれど天使は静かに首をふり、くすん、くすんと泣いたまま。
動物たちは困り、またふくろうのもとへ行きました。おいしいきのみを持っていっても、天使は顔もあげてくれないのです。どうすればいいでしょう?
「君たちは、大人数でおしかけているのではないかな?周りにたくさんの仲間がいたら、天使さんだって食べにくいだろう。結果は急いでは駄目だよ。毎日数人ずつ、天使さんのところにおいしいきのみを持っていってあげるといい。きっと、君達の心は天使さんに届くはずだよ」
そうかなるほどそうしよう。動物たちはふくろうにお礼を言い、言われた通り毎日数人ずつおいしいきのみを持って行ってあげました。

けれど最近、おかしなことが起こり始めました。

それは、森の動物たちが少しずつ消えていっているというものです。動物たちは不安に思いながらも天使さんのところに毎日通っていました。しかし、大変なことがおこりました。
なんと、あのふくろうまでもが消えてしまったのです。
動物たちは急いで天使さんのところへ向かいました。大丈夫かな、大丈夫かな。天使さんを心配する声があがります。動物たちは走ります。もう少しで、天使さんのいる場所です。
「…!?」
天使さんはいつもと変わらず泣いていました。くすん、くすんと声をあげながら。
けれど、周りの景色が違います。