桐壷~源氏物語~






引き返して戻る道々、御簾の中の女房達は、私達を見ては、大声をあげて笑っている。

私はどうして、こんな目にあわなければならないだろうと、涙で視界を曇らせながら思ったのだった。





弘徽殿女御(こきでんのにょうご)は、初めて桐壺更衣を見た時の衝撃を思い出していた。

桐壺は清涼殿から遠くに位置する為、清涼殿を訪れる際は、弘徽殿の渡殿(わたどの)を通らなくてはならない。

弘徽殿女御はその身分から、端近(はしぢか)に出る事など滅多にないのだが、その日は桐壺更衣を見る為、大勢の女房に囲まれて御簾の内から今か今かと彼女を待ち構えていた。


そして、いよいよ桐壺更衣が渡って来た。