彼は人差し指で私の涙をそっと拭うと、両手で私の頬を包みこんだ。
私は彼の温かな両手の上に、恐る恐る冷たく震えている指先を重ねる。
すると、彼の唇がゆっくりと近づいてきて、私のそれに覆いかぶさった。
少しくすぐったい様な、甘酸っぱい感覚が、私を満たしてゆく。
ああ、やっと分かった。
宮中でずっと探していた私の居場所は、この方のお側なのだ、という事が。
今、この時を、彼に全て委ねてしまおう。
熱を含んだ唇が、長い指先が、固く冷たい私を段々とほぐし、ゆっくりと溶かしていく。
私は恥ずかしさの余り気絶しそうになりながら、瞳を閉じた。
少し怖い様な気はするけれど、ためらいはなかった。
この方を、信じているから。
この方の、妻になるから。

