桐壷~源氏物語~




「やっと、夢が叶った。いつも貴女の姿を、御顔を間近に見てみたいと思っていたのだ。君がため…」


と思わせぶりにそう仰るので、私はやっとの事で事実に気が付いた。

宮中にやって来てから貰った、初めての御文。

心温まる、数々の御言葉。


「あの御方ですか。本当に、菫草(すみれぐさ)を下さった、あの御方ですか」


帝が微笑みながら、こくりと頷く。

初恋の君。


お会い出来た。

お会い出来た…。


視界がみるみるうちに、涙で歪んでいく。


「会いたかった」


「私も、お会いしとうございました」