「君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ」という光孝天皇の和歌の、替え歌である。 綺麗な字…。 驚いたのも束の間の事。 私は、流れる様に美しい文字に目を奪われた。 良く見てみると、可愛らしい菫の花も、透ける様に薄い高価そうな御料紙も、禁色の紫であった。 まさか…。 私は一瞬、その可能性を考えたが、有り得ないこと事、とその考えを打ち消したのだった。