私はというと、彼らのような専門家じゃない。だから少年には、普通に接していた。

「今日は。何を食べたの?」
「さあ……なんだったかな」

 忘れているハズが無いのに、忘れたフリをする。

「もうすぐ3時ね。今日は私が作って来たのよ」

 そう言って、彼女が取り出したのは、

「クッキー……?」

 ベリルは怪訝な顔をした。それもそのはず、形はいびつで色もまちまち。

「あはは」

 アリシアは苦笑いする。少年も少し笑う。彼は感情が無い訳じゃない、起伏が緩やかなだけなんだ。

 金色の髪と印象的な明るい緑の瞳……まだ9歳のこの子に、私は時々ドキリとする事がある。