アリシアは静かに1度、溜息をつく。

「行って……ベリル。あなたは、捕まってはだめよ」

「……っ」

 ベリルは激しく頭を横に振った。ベリルにとっては、彼らは家族だ。

 共に過ごした仲間だ。それを1人だけ逃げるなんて……

「行ってくれベリル」
「それがわしらの意思だ」

 口々に発せられる言葉に、ベリルはどうしていいのか解らない。

「ベリル」

 アリシアは、残された力を振り絞りベリルにキスをした。

「行きなさい」

「行け! ベリル。俺の最後の命令だ、自身の身の安全を確保しろ」

「……」

 ベリルは弱しく立ち上がり、その顔を焼き付けるように見回したあと……振り返らずに駆けだした。

「そうだ……行け」

 ブルーはベリルの背中を見つめて、小さく笑った。