今日は、ブルー教官との訓練の日。

「ベリル、今日は何がしたい」
「そうですね」

 聞かれてベリルはしばらく考えたあと、小さく笑って応えた。

「お手合わせ、願えますか」
「いいだろう」

 ブルーはニヤリとして、木のフローリングに向かう。

 2mほどの間隔を空け互いに構えて見合い、合図も無しに同時に駆け寄った。

 ブルーの体術は主にマーシャルアーツだが、ベリルはそれを自分なりにアレンジしたものだ。

 しなやかな動きに、油断すると足下をすくわれそうになる。

「……っふ。さすがだな」

 15歳とは思えないほどの彼の体術に、ブルーは口笛を鳴らす。

 対戦を終え、タオルで汗を拭いながらブルーは感心するように発した。

「上達が早いな。俺が教える事が無くなって来たぞ」

「まだまだ教わる事はあります」

 ベリルは謙遜(けんそん)するように微笑んだ。

「そう言ってもらえると嬉しいけどね」