エメラルドの傷

「え……? 私が、ですか?」

 次の日、アリシアはベリルにお菓子作りを持ちかけた。

「うん、そう。私にケーキの作り方、教えてくれないかしら」

「……」

 ベリルは、アリシアの言葉に当惑する。

「先生って──」
「何?」

「いくつでしたっけ」
「……」

 その問いかけに、一瞬ピキッとこめかみの血管が浮いた。

 それはあれか。35にもなってケーキも作れない私を笑っているのか。

「……」

 なんだか微妙な表情をしているアリシアを見つめて、ベリルは小さく笑った。

「いいですよ」
「あ、ホント?」