エメラルドの傷

「さーてと……」

 アリシアは腕まくりをした。明るい栗色の髪を後ろで束ね、淡い黄色がかった瞳で食材を目の前に、レシピを睨み付ける。

「明日はケーキでも作ってあげよう」

 食材をきっちり計って、レシピをジロジロ。

「……」

 そうなのよね。私、ピアノばっかり弾いてて、料理とかした事が無かったのよ。

 こないだのクッキーは、ベリルの優しさからだわ。「美味しい」なんて言ってくれて……もう何回もチャレンジしてるのに、全然上手く出来ない。

「! そういえば……」

 ベリルは料理も勉強してるのだわ、栄養学の権威が施設にいるんだった。

「はぁ~」

 アリシアはがっくりと肩を落とした。

「私のお菓子なんかより、彼が作った方が美味しいに決まってる」

 もうこんな事、止めようかな……そう思った刹那、

「そか! だったら……」

 いい事を思いついた。