エメラルドの傷

「その言語学者は?」

 その質問に、ベルハースはコーヒーを傾けたあと応えた。

「わしの知人だったのだがね。つい先日に、心臓発作で他界してしまったよ」

「! そうなんですか」

「変わった男だったね。『世界は1人の独裁者がいればいい』。という説を唱えた事があった」

 それにマークは眉をひそめる。

「なんですかそれは……」

「わしにも解らんよ。それ以外では、とても良い学者だったのだが」