「ベリル。元気にしているかね」

 教授が笑顔で入ってきた。

「!」

 ベリルは、後ろから興味深げに自分を見ている青年に目をやる。しかしすぐ目線を外し、近づいてきた教授を見上げた。

「……」

 マークはその少年をマジマジと眺める。

この子が『キメラ』見た目は僕たちと変わらないじゃないか。

「!」

 明るい緑の瞳、それであんな名前を……その瞳の色とかけて名付けたのか。マークは、半ば科学者たちに感心した。ベリルとは緑柱石から造られる宝石の総称だ。

 身長は9歳と聞かされていた通り、その年頃の平均的な高さだ。

 教育を受けているせいか、物腰はとても上品だがそれが返って違和感を覚えさせる。

 本来、このような視線を向けられれば誰でも嫌な気分になるものだ。しかし、少年はそれに何ら興味を示さなかった。