「ちゃんと、フルネームをつけてあげたのだよ」

 広い施設の中を歩く2人。

「フルネーム?」

 怪訝な表情を浮かべるマークに、ベルハース教授はおもむろにそう言って口角をつり上げた。

「ベリル・レジデントという。いい名だろう」
「! それは……」

 マークは立ち止まる。教授は、立ち止まった彼に静かな口調で……

「そうでない事を祈るよ」

 ささやくように言った。