しばらくすると、みぃこが家から出て来た。

うさぎのような真っ赤な瞳をして。

無言で車に乗ると、涼の家が見えなくなるまでずっと振り返って見つめていた。

見えなくなった頃、ようやく振り返ったみぃこの顔は笑顔だった。

でもその笑顔は悲しみを含んでいて、無理をしているのが手に取るようにわかった。

み「ねえ陸くん、心配かけてごめんね?」

俺「いいよ。落ち着いたか?」

み「うん。色々考えられた」

俺「変な事考えてたねぇか?」

み「大丈夫だよ。あのね、私が涼と出会ってもう7年になるんだ。辛い事もいっぱいあったけど、それ以上にたくさんの喜びや大切な事を教えてくれた涼と出会えて良かったと思う。私ね、涼に頼ってばかりだった自分から卒業しようと思うんだ。涼に恥じない生き方がしたいから。もう21だし、大人にならなきゃね」

俺「そうか。お前なりに答え出たんだな。でも無理はすんなよ?いつでも頼ってこい」

み「あはは。奈々さんにも同じ事言われたよ。陸くんありがとう」