しかし、時間とともに嫌でも実感させられる。

悲しみを必死に隠して気丈に振る舞う涼の両親。

泣きじゃくる奈々。

言葉を交わさない祐司と麗子。

壊れたおもちゃのように、表情が消えたみぃこ。


涼の葬式では、みぃこ以外の出席者ほぼ全員が泣いていた。
もちろん俺も。

それもそうだろう。
涼はまだ21歳。
死ぬには早過ぎる。


俺は葬式の最中、泣きながら心の中の兄貴に語りかけていた。


なあ兄貴、なんで助けてやんなかったんだよ?

涼のことめちゃくちゃ可愛がってただろ?

それとも1人でいるのが寂しくなって、涼を連れて行ったのか?
兄貴は寂しがりだから1人でいるの苦手だもんな…

だからって涼連れてくなよ。

このままじゃみぃこがあの頃の奈々みたいに壊れちまうだろ?

みぃこは脆いから、涼じゃなきゃ支えてやれないだろ?