私は、ペンを持ったまましばらく固まってしまった。


正直、書くことがなかった。


高2、3と担任だった、宮野先生。


男の体育の先生で、生徒からも人気があった。


教室に居れば、常に生徒に囲まれてる。


でも私は、そんな先生たちを少し遠くから眺めてるだけだった。


騒ぐのが苦手。


人の好き嫌いが激しい私は、特定の子たちとしか仲良くなかった。


宮野先生のことは、好きでも嫌いでもない。


私にとって、普通の人だった。


「これでいいか」


小さく呟いて、ペンを走らせた。


2年間お世話になりました。これからも身体に気をつけて、頑張ってください。


かなりありきたり。


でもこのときは、これしか思いつかなかった。