頑張ったなんて、大学受かっても誰一人言ってくれなかった。


よかったね。


すごいね。


おめでとう。


そんな言葉だけ。


それはそれで、嬉しかった。


でも頑張ったって言葉は、それ以上に嬉しかった。


私を見ててくれた人がいた。


必死に勉強したのを、わかってくれる人がいた。


「ちょっと待ってろ」


宮野先生はそう言うと、私と美波を残してどこかに行ってしまった。


「どこ行ったんだろ?」


「さぁ?」


ほんの数分で、先生は戻ってきた。


「これ、お前たちにやるわ」