雪の中を歩くために重ねて着込んでいた衣服を一枚一枚脱いでゆく。紗枝の白い肌があらわになり、形のいい乳房が見えた。紗枝の裸体は胸から、腰、ふとももにかけて美しい曲線を描き、栄養価の低いこの時代からすれば、その肉体は妖艶なまでの魅力があった。

旅の疲れと冷えた体を温め癒しつつ、紗枝はいまだ自問してやまない疑問を自らに問かけていた。
(一体なんのために私はここに帰ったのだろう。そして人と人の縁とは、一体何であろうか。)
夫を若くして失った未亡人の複雑な思いと疑問。その答えは未だ出せることはなかったのである。しかし、内側から湧き出してくる何かしらの思い・・・いやむしろ何か焦燥感に近いその想いに逆らえず、紗江はこの村に帰ってきてしまった。そんな彼女は、まずとにかく、両親と暮らし、孝行をしながらその余生を全うするつもりであった。確かにその中でゆっくりと見つかる答えもあろう。
(あせらずにゆっくりと考えてゆけばよい。)
しかし、紗枝を取り巻く運命と縁は、残酷にも彼女の望む望まぬに関係なく、紗枝をその渦中へといざなっていくのである。